「金もうけ主義」ということばがあります。特定の企業や個人を指し、必要以上に利益を得ていると発言者が主観的に感じた際に、揶揄する目的で使われることばです。

これ、ちょっと考えてみてくださいね。資本主義の国に住んでいる限り、そこに生きているすべての人や企業は多かれ少なかれ「金儲け主義」でないと生きていけないのではないでしょうか。
 
 
「自分は違う」というあなた。考えてみてください。

「明日からバイトの時給300円な」「おたくの商品すごい良くて使いたいけど、8割引でちょうだい」「家賃は来月から倍額っ!」

って言われた場面で「かしこまりました!!」って即答できますか?

おそらく、すべての人の回答は「ちょっとまってそれはむりです」でしょう。いずれのパターンでも自分の利益を確保するために抵抗するはずです。
 
 
ここまで言うとまた「そんな極端な話と比較するな」と言われそうです。ではこうなったらどうでしょう。

「明日からバイトの時給5%下げるからな」「御社の商品を1割引きで頂戴、すぐ買うから」

こうなると、迷う人もいれば拒否する人もいれば受け入れるひとも出てきます。

しかし「手にする金額が減少する」「支払う金額が増大する」ことに対してに正の感情を抱くひとはいないはずです。受け入れる場合も「ヤだけど仕方ない」です。
 
 
程度の問題というなら、それはそこに生きている100%の人が納得できる基準が必要です。

「1億円以上儲けたら金儲け主義」「従来より80%以上UPする金額を請求したら金儲け主義」など明確なラインがあり、全員がそのラインを理解しているなら、その基準を超えた場合に「金儲け主義」という言葉を使えばいいのです。

しかし、そんなラインなど存在しません。人によってそのラインは異なります。ラインがない人もいます。
 
 
「アイツは金儲け主義だ」という発言を詳しく読み解くとこうなります。「自分の生活レベルから見たらあのひとはどうみても収入が多い、むかつく、アレは金儲け主義だ」です。要は妬みです。
 
 
もしあなたが誰かに対して「金儲け主義」という言葉を使いそうになったとき、対象となる人物や企業の血も滲むような努力と苦労を見ず、利益の量だけを盲目的に見ていないか、立ち止まって考えてみてください。

だれでも、お金はたくさん貰えればうれしくて、あんまりもらえないとちょっと悲しいものなのです。

その感情があるということは、多かれ少なかれ資本主義の国に存在する企業や個人は全員「金儲け主義」なのです。あ、資本主義の国に限らないですかね。人は全員というべきでしょうか。
 
 
 
さて、前置きが長くなりました。こんなことを言いたいのではありませんでした。阪神タイガースのお話です。
 
 
阪神タイガースという組織も当然ながら営利組織です。妬み人間ゴゴンゴーンから見ると「金儲け主義」です。

2018年3月時点で、発表されている阪神タイガースの主な経営指標は以下のとおりです
当期純利益:9億6,500万円
利益剰余金:84億3,100万円

純利益というのは、税金や人件費などすべての経費を支払って残った利益です。9億という金額を見てどう思うかは人それぞれです。個人的には「だいぶ節税してるな(苦笑)」という感じです。
 
 
ちなみに

広島カープ(2018年12月)
当期純利益:12億9,700万円
利益剰余金:72億9,000万円

横浜DeNAベイスターズ(2018年12月)
当期純利益:11億1,800万円
利益剰余金:32億2,600万円

となっています。数値だけみていると、突出してタイガースが利益を上げているわけではないことがわかります。
 
 
ただ、少し他球団と異なる事情もタイガースにはあります。

たとえばベイスターズの場合、2014年までは赤字が続いていましたが、親会社Denaの集客施策によって2015年以降は黒字転換。2016年に純利益8億を記録して以降、それ以降も10億を超える純利益を確保しています。

広島カープは3連覇が始まった2016年に利益額は大幅に伸び、以降3年間は10億円近いラインを保っています。強くなったから儲かるようになったという典型です。
 
 
さて、輝く我等ぞ阪神タイガースの場合は、弱かろうが強かろうが大幅に球団の利益が減少することはありません。

特に2014年にCSを勝ち進み日本シリーズに進出して以降、特に2018年は大きな補強もなく(ドミニカパワーさん「ん?」)、かつ最下位であったにもかかわらず、上記のとおり10億円近い純利益を確保しています。

他球団とは異なり、強かろうが弱かろうが利益を確保できるのが阪神タイガースであるということが、数字を見てもわかります。
 
 
企業の経営状態としてはすこぶる良好で安定的だと言えます。不確定要素に左右されず利益を確保できるという、これほど安心して出資できる企業はそうそうありません。

なので、球団最高額の年俸を支払っていた鳥谷選手が退団することによって、2020年以降はさらなる戦力の補強もしくは設備の増強、あるいは次年度以降に保留する金額が生まれ、経営状態は更に良好なものになるはずです。

長らくファンに愛されていた鳥谷選手も、特に今年はデビュー以来最低の成績でシーズンを終えそうな気配です。契約解消もやむを得ません。

経営は感情ではありません。逆に言うと、こういうドライな決断ができるからこそ、安定的に利益を確保できる企業として維持できているとも言えます。
 
 
 
 
ただね、
 
 
プロ野球の球団という企業形態は一般の利益追求型企業ではなく、球場に足を運ぶ人々を楽しませて、それを利益に転換するエンターテイメント企業です。

断言してしまいましたが、そう私は勝手に思っています。

いつも球場に足を運んでいるファンの多くは、少なくとも私は、デビューから長らく活躍してきた鳥谷選手に対して強い思い入れをもって見ています。

トップレベルのプレーで私を魅了し、次の試合に期待し、その期待を裏切られることもあればおつりが来るほど応えてくれることもある。そうやって16年彼を見続けてきました。
 
 
先日、鳥谷敬選手と球団で来季以降について話し合いが行われたそうです。その直後谷本球団本部長はこのように発言していました。

「本来は自分で出処進退を決められる数少ないプレーヤーだと思っていますんで、そこは本人が決める話。答えはまだ。まだ全然出てないです」
 
 
個人的には「完全同意」でした。彼こそ、自分がやめるというまで阪神タイガースで現役を継続できる資格のある選手であると。
 
 
 
 
しかしその後、鳥谷選手本人は報道陣の前でこう明言したそうです。

“その席で「引退してくれないか」と言われたことを包み隠さず明かした。”
 
 
 
 
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貢献してくれた選手や監督に対する球団の対応に同意できなくても、それが毎年のように繰り返されても、私たち阪神ファンは甲子園球場に足を運びます。

いままで何十年も同様の事態が繰り返されてきましたが、今日も甲子園は満員です。
 
 
経営上は、そのような感情論が不要であることを数字が明確に示しています。

それでも、目の前の利益を度外視した喜びを、たまには、感じさせていただけると嬉しいです。

長く第一線で活躍した選手の最後の試合は、甲子園球場で縦縞のユニフォームを着て、私達もその時間を共有できれば幸せです。

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鳥谷さん、でっかい仕事がコケたときも、取引先の裏切りにあったときも、どれだけあなたのプレーがいろんなヤなことを忘れさせてくれたか。

シーズン終わるまでにひとつ、浜風に乗せてレフトのポールにコツンと当たるホームランを見せてくださいな。
 
 
 
とおくの空から、虎講師でした。
 
 
 
 
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